絵本でてつがく

小金井市公民館主催 男女共同参画部門
『みんなで哲学 なんでもてつがく』

第1回目が10月5日(日)公民館貫井北分館にて開かれました。

お題は「絵本でてつがく」。

大人10名 こども 7名 計17名

当日は生憎の雨にも関わらず、たくさんの方がお越しくださいました。
子どもたちもたくさん来てくれて、和やかなムードで始まりました。

助っ人はUTCP(東京大学「共生のための国際哲学研究センター」)の梶谷真司さん、小村優太さんです。
今回は、大きく分けて3部構成でした。

第1部 自己紹介がてらのコミュニティボール作り
第2部 紙芝居と問い出し
第3部 てつがく対話

第1部。
大きな輪になって自己紹介がてらコミュニティボールづくりから始めます。
このコミュニティーボールが、のちのち重要な役目を果たしてくれます。
どんな風に使われるかは、参加者にも分からず、これからのお楽しみです。





自己紹介として伝えるのは、
名札に書かれた名前と、『なにをしている時が一番楽しいか?』。

職業やここに来た動機などを伝える、というよくある自己紹介ではないので、気負いや緊張感もなくスタートできました。
しかも一番楽しい時、というプライベートな瞬間を覗くことができて、一気に距離感が近づいたような新鮮な感覚でした。

ここで出た一番楽しい時をいくつかご紹介します。
「日曜日の朝に夫と過ごすとき」
「孫と遊んでいるとき」
「子供の離乳食を作っているとき」
「ゲームをしているとき」
年代も様々なので色々な回答がでてきます。




50分ほどかけて、可愛いボールが完成しました。

第2部 紙芝居と問い出し
今回用意した「うらしまたろう」と「おおかみと7匹のこやぎ」のどちらを読むか、投票で決めます。
「うらしまたろう」を選ぶ子どもたちが多いなか、多数決で「おおかみと7匹のこやぎ」に決まりました。





走り回っていた子どもたちも、ここでは真剣な眼差しです。


物語のあとは、不思議に思ったところを各々挙げていきます。


ここで挙がった点がこちらです。



少しずつてつがく対話に近づいてきました。
先ほど挙げた問い出しをもとに、物語りから離れて大きな問いをつくります。

沈黙も多くなり、和やかなムードから少しずつ真剣な雰囲気になります。

ここで出た問いが、こちらです。



第3部 てつがく対話

先ほど出た問いのなかから、多数決で決まった問いがこちら。

『ひどいことをされたら、なにをしてもいいのか?』



第1部でみんなで作ったコミュニティボールがいよいよ登場します。



まずは、てつがく対話のルール説明です。
みんなが安心して話をすることができる環境をつくるための、大切なルールです。

①話をしたい人は手を挙げてボールを受け取る(ボールを持っている人以外は話せない)
②どんなことを話してもよい
③誰かが言ったことをあざ笑ったり、非難したりするのはNG
④違う意見を言ったときに相手を否定しない
⑤結論を求める必要はないので、みんなで問いを深めよう
⑥手を挙げたくなったら挙げてもいい。ただし、ボールを持っている人は最後までゆっくり話をしてよい
⑦誰かの言葉を引用したりするのではなく、自分の体験をもとに話をする




さて、てつがく対話『ひどいことをされたら、なにをしてもいいのか?』の始まりです。

まず最初にでた意見は
「昔殴られたことがあって、殴られたのなら同じことをしかえしてもいいんだと思った」

ここで、お子さんを持つ方から、こんな意見が出ます。
「子供には、相手が悪いことをしてきた場合なぜそうしたのかを聞いてごらん、と伝えている。そうすれば相手のことを考えるきっかけになるから。ただ、ひどいことをされたら仕返しをしたい、という気持ちも分かる、でも道徳的にはダメ、そこを説明するのが難しい」

そこで他の方からもこんな意見が。
「昔いじめられたことを母親に言いつけたら『仕返しをしてこい』と言われたことがあったが、自分は暴力で仕返しをすることができなかった。
仕返しできるかはともかく、してみようという体験をする方がいいのではないか」

「自分の子供がやられっぱなしだったとき、少しぐらいやり返せ、と思った」

自身の子供時代の体験や、子供の体験談をもとに、様々な意見が出ます。


ここで「大人の場合はどうなのか、聞きたい」という意見が。

「私は基本的には2倍返しだ」

「相手によりけり。暴力では返さないが、良い方向に持っていけるならやり返す」

「ひどいことを言われた時に、なにも言い返せなくて距離があいてしまったことがあり、言い合いしても良かったのではないかと思った」

「年代の違いもあるかもしれない。20代の人と仕事をしたとき、文句も言わないけど落ち込んでいる姿を見たことがあり、なんでなにも言わないのかと思った。教育の差もあるのでは」

「自分が後輩の時代には部活でしごきがあった。先輩の代になるとしごきがなくなり、部活でのコミュニケーションが難しくなった」

他にもこんな意見が。
「部活のしごきは、ある意味仕返し。仕返しは必ず当人というわけではない。」
「仕返しなどとは無縁な人もいる。苦労しないままでいられるなら、それはそれでいいと思う」

ここで
「そもそも(自分とは)違う人間に、自分の痛みを本当に伝えることは出来るのか」というコミュニケーションについて、話が広がります。

「相手はそれが普通だと思ったから言った、伝わらないと思う」
「ありますよね、ズレ。スルーする場合もあるが、悪意がない場合、私ははっきり失礼だと言う」
「昔いじめっ子だったが、いじめたことを(いじめられた側より)覚えていない。やり返されなければ、やった方はわからないのではないか」

「いずれにしても言い合って初めて、分かることがある」

親子や夫婦のコミュニケーションの難しさにも話がおよび、このあたりで時間になってきました。

大きな流れだけ書きましたが、本当は他にもたくさんの意見が出ています。
実際の対話は、流れも複雑で入り乱れています。
ただ、そのなかでも少しずつ、確実に、深まっていくという印象でした。
どなたもいま起こっている対話を大事にしていて、それぞれに真剣に耳を傾けている、という真摯な雰囲気がとても心地よかったです。


ところで、子どもたちはどこに行ったのでしょうか?



まわりで遊んでいます(笑)。
大人が集中している間に、子どもたちは違うコミュニティを作っていました。




子どもたちを巻き込んでのてつがく対話については、まだまだ改善の余地がありますが、子どもたちは、とても楽しそうに遊んでいました。

最後に、みなさんの感想です。

「哲学に対して引いていたところがあったが、色々な方向で考えることができて楽しかった」
「子供が遊んでいる環境のなかで話すと、色々な意見が出て面白かった」
「子供を持つ親ならではの意見が出て、自分からは出せなかった問いがたくさん出た」
「講座名からは、どんな内容になるのか想像できなかったが、こういう話になるとは思ってもみなかった」
「普段絵本を読んでも気にすることがなかったが、よくよく考えたら変なことばかりだ。頭が柔らかくなった。お酒を飲みながらやってみたい」
「コミュニティボールがうまく機能していて、いい対話だった」


ここで助っ人の梶谷さんからひとこと。
「てつがく対話とは、疑問を持ってみんなで考える場。みんなに哲学者になってほしい。
そういう思いで今回「みんなで哲学 なんでもてつがく」という名前をつけた。
分からないことが増えるのはいいこと。てつがく対話は、結論を出そうとしないことが重要。
どんどん疑問を持ってほしい」

あらためて、今回のテーマ「みんなで哲学 なんでもてつがく」の意味を振り返ることができました。


参加してくださったみなさま、助っ人の梶谷さん、小村さん、本当にありがとうございました!


さて、第2回目は

10月26日(日) 10:00~12:00
場所は、同じく公民館貫井北分館 で行います!
お題は、「子どもによる子育て相談室」です。

お一人でも、ご家族連れでも、お友達同士でも、構いません。
もちろんお子様、赤ちゃんの参加も大歓迎です。

あなたの周りにあふれる疑問について一緒に哲学してみませんか!
難しい知識は必要ありません。
赤ちゃんから大人まで、みんなで深く楽しく、おしゃべりしましょう。



たくさんの方のご参加をお待ちしております。


中川知美

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